バレエコンクールが増えているのはなぜ?

ライムライトの仕事部屋
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過去に音声配信で紹介したYouTubeチャンネル「大人バレエアカデミーのイノくん」が、NBAバレエ団の経営について話してました。

NBAバレエ団は僕の家族とも関係があって、父は2012年までNBAバレエ団の芸術局長を務め、妻はNBAバレエ団の全国コンクールで1位を受賞、劇団四季や海外留学を経てNBAバレエ団のダンサーとして所属していました。僕もNBAバレエ団で映像を使用する公演の時は何度かお手伝いをさせてもらったことがあります。

「大人バレエアカデミーのイノくん」で紹介された内容を手短にまとめると、NBAバレエ団は全国でコンクールを行なっていることが有名で、前回紹介した東京シティバレエ団よりも財務諸表はマシであるが、それでも団員一人当たりの給料で見ると、年間平均60万円ほどであり、生活保護で受給できる年間144万円に及ばない。それくらいバレエで生きていくのは厳しい世界だと言うお話でした。

僕の父が芸術局長を務めていたときのNBAバレエ団は非営利のNPO法人だったけど、2019年から一般財団法人になり、団内の利益増進に寄与する活動の範囲が広がった。それでも、株式会社よりは営利目的の活動が制限されている団体であることは予めお断りしておく。

詳しい内容は実際の動画を見ていただきたいと思いますが、僕が注目したのはNBAバレエ団はコンクールを行う国内バレエ団の中でも、かなり先駆け的な存在であることです。

調べてみたところ、国内で行われているコンクールの数は2016年で106件、2023年には202件*のコンクールが開催されており、増加傾向にあります。

*バレエサーチ調べ

前置きが長くなりましたが、今日は全国でバレエコンクールが増加している理由と、コンクールの内容について調べてみました。

コンクールは貴重な収入源であり、海外留学への切符でもある

全国でコンクールを実施していることで有名なNBAバレエ団の財務諸表を見ると、三億ある売上のうち一億円がコンクールによって賄われています。会場費や審査員に支払う経費を差し引いた利益率も6,800万円と、NBAバレエ団の収支の中でも間違いなく主軸になっていることが伺えます。

コンクールの内訳を見ると、以下の3つのカテゴリーに分類されます。

  • プレコンクール
  • 地域別コンクール
  • 全国コンクール

上から全国で実施されている数が多い順に並べました。まず、プレコンクールはコンクールを受ける前の力試しのような位置付けで、プレコンクールを受けたダンサーは審査員から直接アドバイスやコメントをもらうことができます。

これは受験生が受験前に受ける「全国模擬試験」のようなもので、高い評価を得ても特典はありませんが、特に地方でバレエを学んでいる生徒や、教えているバレエ教室にとって、トップレベルのバレエ団の審査員から評価を受けることで、生徒が全国レベルでどのくらいの水準にいるのかを推し量ることができる場となっています。また、バレエ団にとっては全国から将来性のあるダンサーを早期に発見する場にもなっています。

次に、地域別コンクールは文字通り国内の地域ごとに開催されるコンクールです。開催されるエリア周辺のダンサーの中から優秀な人材を発見して、受賞者には次に紹介する全国コンクールのシード権や、NBAバレエ団の入団許可などの特典が与えられます。

そして全国コンクールは日本全国から才能豊かなダンサーを集め、国内バレエ界の重鎮や海外の有名バレエ学校の校長などを審査員として招聘して行われる、全国トップを競うコンクールとなります。このコンクールで入賞したダンサーには国内のみならず、海外有名バレエ学校の入学資格や奨学金を得ることができます

まとめ

以上、今日はNBAバレエ団のコンクールを例に取りましたが、コンクールはバレエ団にとって団費や公演のチケット代、補助金以外の新たな収入源になっているだけでなく、新たな才能の発見の場であり、応募者にとっては国内や海外のバレエ団で活躍するための足がかりとなっていることが分かりました。

懸念材料としてはダンサーが技術的なスキルの競い合いに傾注し、芸術性や表現力を犠牲にしたり、その人ならではの表現や創造性を蔑ろにしてしまう可能性が考えられます。

個人的にはコンクールで受賞することが踊りの目的になってしまうのは表現の本質と外れてしまう気がしますが、それでも国内でプロのダンサーが踊りだけで食べていくのが難しい状況下で、才能あるダンサーが海外で活躍するチャンスを与えるコンクールは選択肢として必要だと思います。


最後にお知らせをさせてください。

今夜21時から、スタジオアルマのYouTubeチャンネルで、スタジオアルマ主宰の小泉憲央、亀井奈緒、劇団員の平山泉、そして私、ライムライトの4名が今回の所沢出張公演「風の中の青い馬」の映像を鑑賞しながらコメントをしていく座談会をライブ配信します!

お酒を飲みながらのトークが中心になります。すでに映像配信をご覧の方は作品の貴重な裏話を聞ける機会となっており、まだ映像配信をご覧いただいていない方はワイプで全公演を視聴できるチャンスです。コメンタリーなしで静かに鑑賞したい方は、ぜひ映像配信をご購入ください。

配信は4月12日の午後9時からの予定。ライブ配信を見逃した人も、ライブ配信のアーカイブを翌日土曜日の音声配信の代わりに僕のSNSでお知らせするよ。

映像配信はコチラから購入いただけます。

配信期間は5月6日まで、ご購入期間は4月30日までとなっております。

また、スタジオアルマは現在、所沢教室の体験レッスン受講生を募集中です。

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