バレエの歴史 20世紀後半 -1.世界の潮流-

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年始からなかなか着手できずにいたバレエの歴史シリーズをいよいよ再開します!

「やるやる」と言って2月はやれず、3月もあと数日で終わるタイミングとなりましたが、なんとか滑り込みセーフといったとことろ。

20世紀後半は2度の世界大戦を経て、グローバル化が進み、国単位でバレエを紹介することが難しくなって来ました。そこで今回のシリーズでは、本章で20世紀後半の世界の潮流を大雑把に理解していただき、その後、各エリアのバレエ団の紹介をし、さらに20世紀後半を代表する振付家やダンサーの紹介へと進んでいこうと思います。

20生後半の世界 -政治・経済-

第二次世界大戦を経て、20世紀後半の世界はアメリカを代表とする資本主義(西側)諸国と、ソ連を代表する社会主義(東側)諸国による冷戦の時代に突入します。核の脅威に怯えながら世界の様々な場所で小規模な衝突を繰り返す西側と東側による主導権争いは、冷たい戦争=「冷戦」と呼ばれ、1991年のソ連解体まで続きます。

そして経済的にはバレエの歴史シリーズの参考元である海野敏著「バレエの世界史」によると、20世紀後半の世界を「消費者文化」と「グローバル化」の時代と定義しています。

ジェット機や高速鉄道、宇宙ロケット、テレビ、コンピュータ、携帯電話など、テクノロジーの発達は製品の大量生産と高速な物流・情報のやりとりを世界規模で可能にし、工業生産を基盤とする社会から商業(=サービス)を中心とする社会構造へ変化していきます。

20生後半の世界 -文化・芸術-

テクノロジーの進歩は、ビジネス、教育、エンタメ、アートなど、人々の生活のあらゆる面に影響を与えます。以下に一例を並べます。

  1. 音楽と映画:ロック、ポップ、ヒップホップなどの新しい音楽ジャンルが登場し、大衆文化に大きな影響を与えました。また、映画の技術も進化し、特殊効果やCGが一般的になりました。
  2. 社会的変化:女性の権利、人種差別の撤廃、LGBTQ+の権利など、社会的な問題に対する認識が高まりました。これらの変化は、法律、政策、そして人々の態度に影響を与えました。
  3. 環境意識の高まり:地球温暖化、オゾン層の破壊、絶滅危惧種の保護など、環境問題に対する認識が高まりました。これは、リサイクルの普及や、持続可能な生活方法へのシフトを含む、多くの環境保護の取り組みを促しました。

また、20世紀後半はバレエも含む芸術全般において、芸術のあり方そのものが大きく変化した時代でもある。

これまでのアート(近代美術)は、教会や貴族、裕福なパトロンなどの支持によって制作されてきたため、宗教や政治を目的に制作されることがほとんどで、作家の個性は二の次でした。19世紀後半から20世紀前半にかけて、民主主義の広まりと歩調を合わせるように、印象派や表現主義、キュビズム、シュールレアリズムなど、より作家の視点や思想に着目するような作品が増え、やがて20世紀後半になると、芸術はついにキャンパスのくびきから解き放たれ「芸術とは何か」を問い直すようになります。それが、現代アートのはじまりです。

現代アートは1917年にニューヨークで発表されたマルセル・デュシャンの「泉」にはじまるとされています。

この作品は既製品の男性便器に制作年度と署名を書いただけのものでした。ここで注目すべきは便器そのものではなく、便器を作品として提示したデュシャンの視点や思想です。

一方、作者の「個」が注目されることになって、作者の出自や思想的背景を知らないと作品の理解が難しくなる側面が生まれ、それが現代アートがとっかかりにくい要因にもなっています。

これはバレエでも言えること。余談だけどAIで誰でもすごい絵が描けるようになった現代では、「どこに誰が」サインをするかが重要だということは、分かりやすくなったかもしれない。

マルセル・デュシャン(1917) 「泉」(Fountain)

また、美術をめぐる客層の変化にも言及しておく必要があります。「消費者文化」を支えたのは貴族や一部のブルジョワジーではなく、工場勤めの工員や農家、僕のような自営業者、企業に勤めるサラリーマンなど、中産階級の人々です。中産階級以上の誰もが美術館や劇場を訪れ、あるいはメディアを通じて、芸術を楽しめる状況になりました。

まとめ

なんとか3月中にバレエの歴史シリーズを再開することができました。だいぶ時代が今の感覚に近づいてきましたね。

とはいえ、今回はバレエの歴史を知る前の前提知識、いわばアパタイザー(前菜)のようなものです。

4月からはエリアを区切って少しずつ20世紀後半のバレエについてご紹介していこうと思います。

時間はかかるかもしれませんが、楽しみに待っていてください!


最後にお知らせです。僕が広報や映像配信でお手伝いしているスタジオアルマ所沢出張公演「風の中の青い馬」が3月29日(金)に所沢まちづくりセンター中央公民館で上演されます。一般の方は2,000円、高校生以下1,000円、そして小学生以下は無料でご覧いただけます。

本番まであとわずか!

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