バレエの歴史 クラシック・バレエ -前編-

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世界中に植民地を築いたイギリスに続き、19世紀後半はドイツやフランス、アメリカ、少し遅れてイタリア、ロシア、そして日本において巨大企業が国家と結びつき、海外へと勢力圏の拡大を図る「帝国主義」の時代が到来します。

19世紀前半にヨーロッパに広がったロマンティック・バレエは、帝国主義同士の争いに巻き込まれて、19世紀後半に入ると終息します。

その後ロシアにおいて発展したクラシック・バレエについて、振付家のプティパ作曲家のチャイコフスキーのふたりをなくして語ることはできません。「バレエの歴史 クラッシック・バレエ」では、このふたりの登場前を前編、登場後を後編としてお届けします。

《コッペリア》ロマンティック・バレエの終焉

《コッペリア》はパリ・オペラ座とロシアのペテルブルク帝国劇場でバレエマスターを務めたサン=レオンによって振り付けられました。

イタリアの技巧派、ファニー・チェリートのパートナーとして、過去記事にも登場しているよ。

1870年5月の初演は皇帝ナポレオン三世夫妻も臨席して大成功でした。ところが、わずか2ヶ月後に「普仏戦争*」が勃発して9月にはナポレオン三世が捕虜となって第二帝政が崩壊し、パリはドイツ軍に包囲されて翌年までオペラ座は活動を停止します。

そして奇しくもナポレオン三世が捕虜となった同じ日、サン=レオンが心臓発作で急死します。以後半世紀にわたり、フランスのバレエが《コッペリア》のようなヒット作を生み出すことはありませんでした。

アルテュール・サン=レオン

*1870年から1871年にかけてフランスとプロイセン王国の間で行われた戦争。この戦争を契機にドイツ統一が達成され、フランス第二帝政は崩壊した。

19世紀のロシア・バレエ

ロマノフ朝ロシアでは18世紀からバレエの輸入がはじまっています。

時の支配層が西欧の文化・政策を取り入れて積極的に近代化を推し進めたのは、明治期の日本の状況と重なります。バレエに関しては当時の首都ペテルブルクの帝室バレエ団に西欧から優れた振付家とダンサーを次々に招きます。

前の記事で紹介したタリオーニ、エルスラー、チェリート、グリジ、グラーンのスターダンサーたちはもれなくペテルブルクに招かれているよ。

ペテルブルクの位置。ヨーロッパに近い。
シャルル・ディドロ
アレクサンドル・プーシキン

19世紀前半、振付家では女性ダンサーをワイヤーで吊り下げる演出を生み出したディドロが大活躍します。彼はロシアのバレエ教育を改革し、ロシアの国民的詩人プーシキンとも親交を持ち、彼の叙事詩を元にした《コーカサスの捕虜》など、多数のバレエを振付ました。

プーシキンとの親交の深さと活躍ぶりが伺えるエピソードとして、彼の小説「エフゲニー・オネーギン」において、主人公オネーギンがバレエを鑑賞する場面で、オネーギンに「バレエにも長らく我慢してきたが/ディドロにはもううんざりだ」と皮肉を言うシーンがあります。

19世紀後半に入って、ディドロの後を継いでロシア・バレエを発展させたのが、《ジゼル》の振付家ペローと、前出の《コッペリア》の振付家サン=レオンです。

ペローはペテルブルクの帝国劇場のバレエ・マスターになると、グリジを招いて《ジゼル》を上演し、その他にも《海賊》や《エスメラルダ》をロシアで初演しています。

その後を継いだサン=レオンも1859年から69年までペテルブルクでバレエ・マスターを務め、ロシア民話を元にした《せむしの仔馬》や《金の魚》などの新作を発表しました。

そしてサン=レオンの後を継いだのが、次回紹介するマリウス・プティパです。

まとめ

はい、今日はこれでおしまいです。

こうしてみると、ヨーロッパの帝国主義国家間の争いで勢いを失ったロマンティック・バレエのDNAがロシアに脈々と受け継がれているのが分かりますね。

実際、クラシック・バレエの代表作である《白鳥の湖》や《眠りの森の美女》、《くるみ割人形》などにおいても、ロマンティック・バレエの特徴である「異世界もの」や「三角関係のもつれ」などの作品構成は引き継がれています。

そしていま上に挙げたクラシック・バレエの3つの代表作は、すべて次回紹介するプティパとチャイコフスキーの協働によるものです。詳しくは次回をお楽しみに!

 


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