ダンサーの怪我について考える

ライムライトの仕事部屋
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じつは、ゴールデンウィークを迎える直前、妻がレッスン中に膝を痛めてしまいました。

この一件から、改めてダンサーという仕事のリスクについて思うところがあったのでみなさんと共有したいと思います。

外の教室でレッスンを受けている時の出来事

現在、妻は両親のバレエスクールで講師を勤めながら、渋谷にある大手のバレエスタジオでも週2回、講師を勤めています。

また、8月には両親のバレエスクールで発表会で3つの作品を振付し、さらに「くるみ割り人形」ではスペインの踊りで出演、さらに10月にも別の公演の主演を控えていました。

バレエ講師の教えと振付をしながら自分自身もレッスンを受けて身体を作り、子育てもしていくわけですから、控え目に行っても激務だと思います。ですが、この激務ぶりは妻に限らず、母もそうでしたし、おそらくたくさんのダンサーの方達が「私も」と共感いただけるのではないでしょうか。

翌日にゴールデンウィークを控え、ようやく少し休めるかな、そう思っていた矢先、外の教室にレッスンを受けに行っていた妻から電話がありました。

ジャンプしたら膝の中でパキッて音がして、歩けなくなっちゃった💦

整形外科に行った結果、「変形性膝間接症」と「外側半月板損傷」と診断されました。

長年の鍛錬による膝への負担と、疲労が限界に達してしまったようです。

労災が降りても休めない

日本では、たとえ非正規の労働者であっても一人でも雇えば労災保険の加入が雇用主に義務づけられているので、治療費と働けない期間の収入の一部は、労災保険から支払われることになっています。

しかし、妻の場合は業務中に怪我をしたのではなく、外の教室でレッスンを受けている最中に怪我をしました。労災が降りるかどうかは、雇用側が業務の一環として認めるかどうかによってしまいます。

ダンサーなら、全然ありうるシチュエーションだよね。

結局、外で受けたレッスンも業務の一環という形で、両親のバレエ教室を通じて労災の申請をすることになったのですが、これが家族ではない教室だったら、別の判断になった可能性もあります。

怪我を受けて、発表会と10月の公演での出演は取りやめ、渋谷の教えも休業にしたものの、振付の仕事だけは継続することになりました。発表会を心待ちにしている生徒さんがいますし、振付は妻の作品ですから他の人にお願いするわけにもいきません。

そうなると治療費は労災でおりるものの、働けない期間の収入の負担金はおりなくなってしまいます。振付以外の仕事は全て休んでも、仕事を完全に休まないと収入の一部負担金はおりない仕組みなのです。

また、レッスンをしないということは、もちろん膝を休めるために必要ですが、他の筋力や柔軟性も衰えてしまうため、少しでも早く身体を動かしたい、というのがダンサーの本心でしょう。リハビリのためにレッスンをはじめても、そのレッスン費用は治療費には含まれません。

いざというときの対処法

ダンサーの方には身につまされる話ではないでしょうか?踊りをしていれば、いつなんどき同じ状況が訪れるとも限りませんから。

日本では、多くのバレエ教室が3人で切り盛りされているというデータも出ていますので、怪我をしても休めないという状況は、多くの教室で発生しそうです。また、どこにも所属しておらず、そもそも労災がおりない方もいらっしゃると思います。

発表会を取りやめて収入の一部負担金を受け取っても、会場や諸々のキャンセル代の方が大きいし、発表会自体の収益も失われてしまうから、結局マイナスだよね。

そんな状況に対して、僕が考えた対策はふたつです。

  • 少なくとも3ヶ月は仕事をしなくても生活できる貯金を蓄えておく

あたり前と言えばあたり前ですが、月々の生活費がいくらかかるか、普段から把握しておくことが大切です。

ウチは医療保険に入っているから大丈夫!

医療保険は生活費を負担してくれません。生活費を負担してくれる就業不能保険というのもありますが、大抵は3ヶ月以上働けない期間が継続することが条件です。逆に言えば働けない状態になる怪我は3ヶ月くらいで快方することが多いということです。であれば、保険に頼らず自分で貯金をした方が融通が利きます。

  • 教室を法人化する

バレエ教室を法人化すると、今回のように外の教室で起きたアクシデントなど、雇用主の判断で労災の申請ができるかどうかが変わってしまう状況を回避できます。自分の会社であれば、自分の判断で労災を申請し、働いているダンサーたちを守ることができます。また、法人の方がお金を借りやすいので、最悪、怪我で公演が中止になった場合でも、自腹でキャンセル代を払って生活費を失うリスクを低減できます。

まとめ

実は僕も妻のバレエ講師の仕事を法人化しようと動いていたのですが、その矢先に今回のトラブルが発生してしまいました。

朗報だったのは労災は病院で治療を受ける際に申請すれば、以降の治療費は負担しないで済む、前払い制だったことです。すでに支払った治療費についても払い戻しができるようです。後払いになってしまうと、治療費が生活費を圧迫しますし、法人化すると雇用形態が変わって労災がおりなくなってしまうため、法人化の手続きを進めることができなくなってしまいます。

バレエ教室の法人化についてはまた別の機会にご紹介します。

 


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