抽象絵画シリーズ -写実主義編-

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抽象絵画シリーズを久しぶりに再開します。これまでロマン主義象徴主義とバレエに大きな影響を与えたムーブメントを紹介してきましたが、今回ご紹介するのは、象徴主義よりも少し前にはじまり、マネやドガをはじめとした印象主義の画家たちに影響を与えた写実主義です。

「写実主義」と聞いて、抽象絵画とまったく逆の印象を持たれる方もいるかもしれませんが、じつは抽象絵画は象徴主義よりも写実主義に直接的に影響を受けているのです。

象徴主義の画家たちとは折り合いが悪く、対立していた写実主義ですが、この二つの概念を知ることで、もしかしたら現代の創作活動を考えるヒントになるかもしれません。

写実主義は本物そっくりな絵を描くことにあらず

写実主義は英語で書けば“Realism”(リアリズム)です。この言葉を聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?

写真みたいに本物そっくりに描いた絵のこと?

たしかに細密に描かれた描写が写実主義の特徴としてあげられることもありますが、本物そっくりに絵を描くことは写実主義の前からあった、いわば西洋絵画のお家芸です。

それでは写実主義とは何かということですが、ここは美術の専門家ではない僕からではなく、AIに解説してもらいましょう。

写実主義は、19世紀中頃フランスを中心に文学や美術の分野で盛んになった芸術様式を指します。それまでの新古典主義・ロマン主義への反動として、「現実をあるがままに再現しよう」という画家たちによって広がっていきました。
当時の美術界は神話や歴史、宗教を題材とするのが一般的で、情緒過剰・現実逃避的な、理想を追い求めるロマン主義が主流でした。それに対し、写実主義はありのままを描き現実的な日常の絵を、客観的に描こうと主張しました。
-written by COPILOT

ようするに写実主義の特徴は、モチーフを現実にあるヒト、モノ、風景に求めたということです。

身の回りのことを絵にすることのどこが新しいの?

SNSで身の回りのことを写真付きで投稿できる今ではそう思われるかもしれませんが、例えば上にあげたクールベの「オルナンの埋葬」は縦3m、横6mの超大作で、村のお葬式を描いているんです。

それまで大きなキャンパスに描かれる絵といえば、神話を題材にしたような(立派な)絵ばかりでした。これだけの大作、サロンに出展して賞をもらって、パトロンに購入してもらわないと元が取れませんから、これまでの出世コースだとモチーフが「村のお葬式」では地味すぎるんです。

ところが市民革命で新興のブルジョワジーが増えたフランスでは、この「俺たちの日常」を描いた絵画が人気になって、女性も女神ではなく等身大の女性の裸が描かれたり、クールベはパリ市民の間で売れっ子になります。ついには出展禁止を言い渡されていたパリ万博(1855)会場の目の前で、自腹で「個展」を開くという反骨精神。これが、個展のはじまりです。

これまでハイ・カルチャーとして貴族を相手にしていた絵画を、新興ブルジョワジー向けに描いたという意味では、革命後のフランスにおけるバレエの変化とも符合する。クールベには「世界の起源」と言われる、当時のパリ・オペラ座バレエ団を象徴する超重要&超問題作があるんだけど、不快な思いをする方もいるかもしれないので、紹介している記事のリンクだけ貼っておくね。

ちなみに1867年の第2回パリ万博では、マネをはじめ、クールベに触発された画家たちによる「第1回印象派展」を同時開催しています。

この第2回パリ万博には日本からの使節団も参加していて、西洋におけるジャポニスムブームのきっかけとなると同時に、日本人が西洋絵画を知るきっかけとなったことも付け加えておきます。

写実主義が後世に与えた影響

写実主義の特徴は、本物そっくりな絵を描くことではなく、現実にあるモチーフの選択にあることがご理解いただけましたでしょうか?

現実をありのままを描くには、当たり前ですが高いデッサン力が必要ですよね。印象派の画家たちは当時のサロンに落選した人たちがカウンターとして結成したので、中にはドガのように、もともとサロンに入選できるほどデッサン力があって「本物そっくりな絵」が描ける人もいますが、全体的にはモネルノワールのように「筆触分割*」という印象派独自の画法を深め、写実から離れていきます。さらにスーラセザンヌと言った、もはや筆触分割とも言えない、ポスト・印象派と言われる独自の絵画を描く画家も現れ、「写実的な絵」はますます解体されて20世紀初頭にキュビズムの時代を迎えます。

*色を塗り重ねるのではなく、異なる色を隣り合わせに配色して鑑賞者の網膜上で擬似的にひとつの色に見せる技法。

まとめ

象徴主義が描くファンタジーと写実主義が描く現実。

ほぼ同時代に生まれたふたつの概念に共通するのは「作者が見た・感じた世界」に注目していることだと思います。象徴主義はモチーフを古い神話に求めていますが、そこで描かれるのは作者の「恐れ」や「欲望」であり、写実主義とその後を継ぐ印象派・ポスト印象派の絵画も、外の世界から感じた作者の印象が表現されたものです。

さて、20世紀のモダニズムブームが「自我の目覚め」だとすれば、21世紀はどうなるのでしょう?

 


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