バレエの歴史 バレエ・リュス編 -3-

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今回は初期バレエ・リュスを支えた、二人の女性ダンサーを紹介します。

ロシア出身のアンナ・パヴロワと、ウクライナ出身のイダ・ルビンシュテインです。

アンナ・パヴロワ

アンナ・パヴロワは20世紀の伝説的ダンサーとして知られており、バレエの国際化に大きな貢献をした人物です。

アンナ・パヴロワ《瀕死の白鳥》

当時の首都ペテルブルクに生まれ、帝室バレエ学校でチェケッティに師事し、帝室バレエ団に入団します。

マリウス・プティパに見出されて《ラ・バヤデール》の主役に抜擢、1903年の《ジゼル》で名声を獲得しました。なかでも次回ご紹介するミハイル・フォーキン振付による《瀕死の白鳥》は、生涯を通じて彼女の代表作となります。

1909年から1911年までバレエ・リュスで踊り、その後は自らのカンパニーを組織し、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、アフリカ、インドなど世界中を巡業し、日本にも来日します。

日本での活躍は過去記事を見てね!

イダ・ルビンシュテイン

イダ・ルビンシュテインは帝室バレエ学校で学んだパヴロワと対照的に、我流の踊りと演技で人気を博したダンサーです。

ユダヤ系の大富豪の娘としてウクライナのハルキウに生まれ、ペテルブルクで個人教授についてダンスを学びます。パリで女優として活動をはじめ、オスカー・ワイルド作「サロメ」でデビューし、その中の「七つのヴェールの踊り」では全裸となって話題になります。アカデミックな舞踊技術は不足していたものの、両性具有的な美しさを活かした演技が評価され、プルースト、コクトーら文人たちが彼女の虜になりました。

オスカー・ワイルドはアイルランド出身の劇作家で、耽美的、退廃的な19世紀末文学の代表格です。

オスカー・ワイルド(1854-1900)

「サロメ」の作中、王の命で「七つのヴェールの踊り」を踊ったサロメは褒美として預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)の首を要求します。

オーブリー・ビアズリーによる「腹踊り」(“The Stomach Dance”)は七つのヴェールの踊りの解釈のひとつ。

プルースト
プルースト

彼女の脚は崇高だ。

マルセル・プルーストはジェームス・ジョイス、フランツ・カフカと並び称される20世紀西洋文学を代表するフランスの作家です。51歳で亡くなる直前まで、代表作「失われた時を求めて」を書き続けました。ジャン・コクトーはフランスの芸術家で、詩人、小説家、劇作家、評論家、画家、脚本家、そして映画監督など、様々な活動を行った才人です。

コクトー
コクトー

何かエキゾチックな香水の刺激の強い香りのようだ。

幽玄で、別世界のようで、神々しくて到達し難い。

ルビンシュテインがバレエ・リュスに参加したのはアンナ・パブロワと同じく1909年から1911年まででした。《クレオパトラ》と《シェエラザード》で主演し、その後は自分のカンパニーを設立して第2次世界大戦が始まるまで活躍します。なかでも、バレエ音楽として有名なラヴェルの《ボレロ》は、彼女がラヴェルに依頼した作品であり、後にご紹介するバレエ・リュスの振付家ニジンスカの振付でルビンシュテインが初演を踊ったものです。

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まとめ

アンナ・パヴロワは帝室バレエ学校出身のバレエダンサーとして、いわば正統なキャリアを築いて世界的に評価を得たのに対して、イダ・ルビンシュテインは踊りの技術ではなく、独特の個性やキャラクターが評価されました。

バレエ・リュス編-2-」のディアギレフの功績について、バレエを踊りを鑑賞するものから総合舞台芸術へと進化させたことを挙げましたが、イダ・ルビンシュテインの評価が高まったのは、バレエ・リュスで上演される作品がプティパが確立したクラシック・バレエを超越しようとする、作品の質的変化とも関係しているのではないでしょうか?

次回はバレエ・リュスを代表する振付家たちを紹介します。


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