コロナ禍を経たバレエ業界の変化

ライムライトの仕事部屋
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今週の水曜日にYouTubeチャンネルでお話した内容になりますが、ブログだけ購読されている方も結構いるようなので、こちらでも紹介しておこうと思います。

と言うのも、先日、親のバレエ教室のパンフレットや入会案内書のデザインを新しくするので、印刷屋のおじさんとの打ち合わせに僕も参加させてもらったのですが、そこでの話が興味深かったので、ブログ読者にも共有しようと思った次第です。

コロナ禍を経て、細分化が進むバレエ教室

今回打ち合わせをさせてもらった印刷屋のおじさんはバレエ業界関係の仕事が9割の方で、街の小さなバレエ教室から僕でも聞いたことのある大きなバレエ団の印刷まで一手に引き受けてらっしゃる方で、ウチのバレエ教室とも長年のお付き合いのある方です。

ブログ開設初期に、近年バレエ人口が減少傾向にあることを書きましたが、この時の調査は2021年のもので、つまりコロナ禍真っ最中の調査結果だったわけです。印刷屋のおじさんの話はコロナ禍を経て、バレエ業界にどんな変化があったのかと言うものでした。

バレエ関係の取引が中心のこの印刷屋さんも、コロナ禍の影響をもろに受けて、舞台公演が打てなくなった結果、ひどい時は8割の仕事がなくなったそうです。

それでも助成金などをもらってなんとか持ち堪えたのですが、コロナ禍で稽古場を借りていた教室は賃料が払えなくなって閉業し、戻ってこなかったお客さんもたくさんいたそうです。

特に東京都内は賃料が高いので、近年は小さいスペースを借りて先生が1人か2人で切り盛りする教室が増え、逆に大規模な教室が減っているようです。

街を歩いていても、新しいバレエ教室をちらほら見かけることがあるけど、これはバレエ教室が増えたと言うより、細分化したと見た方が良さそう。

こういった小規模なバレエ教室の先生方は、安い賃料を探して物件を借りているので地域との関係性は薄く、地元の作家協会や地域のバレエ連盟に加入しない教室も増えているようです。

そういった組織に名を連ねても、ただ会費を払わされるだけで、あまりメリットを感じられない

という人が多い。

両親のバレエ教室がある杉並区には杉並洋舞連盟という地域のバレエ教室の集まりがあって、実は父がその会長を務めているのですが、洋舞連盟自体も高齢化が進んでおり、先日ブログで紹介した発表会のノウハウの継承や共同開催など、こういった小さな教室がメリットを感じられる制度設計をしていくことで、若返りを図ることは地域にとってもプラスになるのではないでしょうか。

男性舞踊士の増加

コロナ禍とは関係ありませんが、もう一つ興味深かった話が男性舞踊士の増加です。昔のバレエ人口は、男性が圧倒的な少数派だったので、印刷屋のおじさんも都内の男性舞踊士の顔と名前はほぼ覚えていたそうですが、最近はとても覚えきれないくらい、数が増えてきているそうです。

そのため、昔は引く手あまたでダンサーだけで食べていけた男性舞踊士も、現在はなかなか食べていけない状況になってきているそうです。

男性舞踊士には気の毒だけど、よく考えたらこれって女性舞踊士は昔から経験していたことだよね。

個人的には男性舞踊士の数が増えることは良いことだと思います。というのも、狭いバレエ村の中でパイを取り合っても収入は増えないので、バレエ文化全体を盛り上げて新しいバレエファンを獲得するためには、男性のバレエファン層も積極的に作っていく必要があると思うからです。

19世紀末のフランスでは女性ダンサー目当ての男性客がバレエを観に来ていたけど、今はそんな時代じゃない。国内のバレエファンは女性が中心の世界。男の子がバレエ教室に通いたいと思うのってどんな時だろう?そして男の子をバレエ教室に通わせる親の気持ちってどんなだろう?

男の子が憧れるバレエは、やはり圧倒的な作品体験と、その中で男性舞踊士がかっこよく踊る姿ではないでしょうか?

また、女性中心のバレエ教室に通うのは、男の子にとってなかなかハードルの高い行為です。バレエ教室に男性の先生がいたり、別の男の子が通っていれば、心理的な障壁はかなり下がると思います。

ちなみに僕は小4で2歳年下の男の子と一緒に父親からバレエのプライベートレッスンを受けていたけど、タイツを履くのが恥ずかしかったし、バレエへの憧れも特になかったから長続きしなかった。

これまで「男性」というだけで重宝されていた時代は終わり、技術はもちろん人格的にも優れた男性舞踊士が生き残っていくのは、レッスンを受ける身としてはとても良いことだと思います。

 


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