『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』を読んだ感想

ライムライトの仕事部屋
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ゴールデンウィーク、みなさんはどう過ごしましたか?

僕は連休中に、渡邊永人さんの著書『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』を読みました。この本は、経営と集客に苦労する谷桃子バレエ団が、YouTubeという新しいメディアを活用して再生していく過程を、実際に取材した映像ディレクターの視点から描いたノンフィクションです。

同じ映像ディレクターとして、またバレエ教室の運営に関わる者として、かなり面白い内容でした。

著者との共通点

渡邊さんと僕には、いくつか共通点があります。

  • 映像ディレクターとしての視点:僕も映像制作に携わっているので、「もっとバレエ団を良くしたい」という目的は同じでも、取材する立場と取材される立場の違いから苦労する場面はとても共感できました。
  • バレエの門外漢からのアプローチ:渡邊さんはバレエについて詳しくない状態から取材を始めたそうです。僕も教室で生まれ育ったとはいえ、専門家というわけではありません。だからこそ、素朴な疑問や新鮮な目線でバレエと向き合う姿勢に共感しました。
  • 第三者的な視点からのバレエコンテンツ制作:僕たちは共に、内部の人間ではなく、少し離れた位置からバレエの世界を見つめてコンテンツを作っています。そのような立場から作ったコンテンツは、バレエを知らない人にバレエを周知するという役割と、バレエ経験者にとって、当たり前のことが、世間の当たり前ではないことに気が付くという、両方の役割を持っています。

おそらく、取材開始時点の渡邊さんは僕以上にバレエのことを何も知らない状態だったと思います。
そんな渡邊さんが取材を通じて感じたことが、自分の経験と重なって、いろんな気づきがありました。

著者との相違点

一方で、僕たちのアプローチには違いもあります。

  • メディアの違い:僕は音声配信とブログを中心に活動していますが、渡邊さんはYouTubeという映像メディアをメインに使っています。音声配信は聴覚、ブログは視覚を使うメディアですが、映像はその両方を使います。その分、情報量は一番多いですが、一方で視聴者が想像する余白が少ないとも言えます。
  • アプローチの方法:僕は「執行バレエスクール」という組織全体を推す「ハコ推し」スタイル。一方、渡邊さんは谷桃子バレエ団の個々のダンサーや芸術監督に焦点を当てた「ヒト推し」のスタイルです。
  • 立場の違い:今後、僕は家業としてバレエ教室の運営に長期的に関わっていきますが、渡邊さんはプロジェクトとしてバレエ団に関わり、一定の成果を出すことを目指す短期的な関係です。

実際、渡邊さんは一定の役割を終えたということで、現在、谷桃子バレエ団のYouTubeチャンネルの映像制作には関わっていない。ちなみに、この書籍の印税は 渡邊さんご本人の意向で、すべて谷桃子バレエ団に寄付されている。

「ヒト推し」は、ダンサーや芸術監督の人間ドラマを描くことで、バレエを知らない人にも物語を身近に感じさせる力があります。ただ、推しの人が何らかの理由で取材対象から外れたり、目標を達成したりすると、長期的に興味を持続させることが難しい側面もあります。

一方、「ハコ推し」は、組織や環境が持つ世界観を伝えることで、長期的なファンを獲得しやすいんじゃないかと思っています。世界観を伝えるには、さまざまな角度から長期にわたって視聴者に情報を提供する必要があります。

「ガンダム」や「スター・ウォーズ」がハコ推しの良い例。続編が作られるたびに登場人物は変わるけれど、ファンはその世界観が大好きで、ロングランが続いている。

今後の課題

この本を読んで改めて気付かされたのは、「ヒト推し」にあって僕のコンテンツにない要素。

それは個々の物語の力です。

今後、僕が取り組むべき課題は、執行バレエスクールに関わる人々一人ひとりの物語を掘り起こして、共有することかもしれません。

ただし、教室という性質上、生徒さんのプライバシーは守らないといけません。

なので、これは既定路線ですが、まずはすでに他界している祖父の物語を掘り起こし、両親を含め、その時代を知る人たちに話を聞くことから始めようと思います。

渡邊さんの本を通じて、バレエの世界を外から見つめ、物語として伝えることの大切さを改めて感じました。

みなさんも機会があれば、ぜひこの本を手に取ってみてください。バレエを知らない人でも、組織の再生ストーリーとして楽しめる一冊です。


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僕も制作や映像配信で参加しているよ。

 


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