「わかる」よりも「感じる」こと

ライムライトの仕事部屋
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昨日の音声配信でお伝えしましたが、映像の仕事が繁忙期を迎えてブログと音声配信をお休みしていた期間、新型コロナウイルスに感染しまして、23日からホテル住まいをしております。

このブログもホテルで書いているのですが、本日28日をもってようやく外出自粛期間が終わり、5日ぶりに自宅に帰ります。久しぶりに家族に会えるのが今から楽しみですが、久しぶりといえばこれだけ長い期間、出張以外で一人で過ごしたことが6-7年なかったので、ホテル滞在中で仕事以外の時間、何をして過ごしていたかをお伝えします。

対話を通じて自己を再発見する

ホテル滞在中、仕事以外の時間は自分だけの自由時間です。もちろん自宅にいる時もそれは同じですが、子供と過ごす時間もなければ、妻との会話もない、完全なフリータイム。その間、友人の勧めもあって、以下の順番で映画や番組を見ました。

  1. 高城剛監督作品「ガヨとカルマンデスの日々
  2. 10周年記念 武邑塾2023 × DOMMUNE「虚実遊戯の方法論」―現実はいかに編集可能か?
  3. WEEKLY OCHIAI やっぱり僕たちは分かり合えないのか?
  4. プロフェッショナル仕事の流儀 ジブリと宮崎駿の2399日

全部合わせると放送時間だけで15時間半になりますし、有料のコンテンツもあるので、万人に見ることをオススメするわけではありませんが、僕個人としては長い時間とお金をかけてこれらのコンテンツを視聴したことで、休みなく走り続けてきた1年を一度立ち止まって現在位置を確認し、進むべき道とこれまで歩んできた道を再確認することができて、非常に有意義な時間となりました。

一つ一つのコンテンツを紹介して感想を書くと、とても一駅で読める分量に収まらないので、今日は自分の子供にも伝えようと思う、大切な気づきを皆さんにと共有します。

教養は多少の間違いも含めて持っておいた方が良い

みなさんは外国人に道案内をする時、どうしますか?翻訳アプリを使うか、カタコトの英語でなんとか会話をしようとするのか、色々と方法を考えると思いますが、基本的には自分が分かる言語から外国語に翻訳したり、逆に相手の言っている言葉を日本語に翻訳するというプロセスを通じてコミュニケーションを取ると思います。

これはなにも外国人との会話に限らず、全く異分野の人と会話をするときも、自分の仕事なり経験なりに引き寄せて、相手の話を理解しようとすると思います。

一番厄介なのは、言語も違って価値観も異なる人との会話です。そういった相手に対しては、自分と対称的な部分を見つけて、それをネタに会話を進めるのも良いかもしれません。

重要なのは5感を通して入ってきた情報に対して、自分の中にある引き出しの中から独自の解釈を加えてアウトプットする能力です。引き出しの中身が充実していなければ変わり映えのしないコーディネートしか出てきませんし、引き出しの中身がいくらあっても最適な服を選べなければ、会話に華は咲きません。

それは一般に「教養」と呼ばれるものかもしれません。教養は雑学が豊富なことではありません。また、歴史の年号を正確に覚えることでもありません。(そんなことはAIが代行してくれます)

空海は朝の起き抜けに「仏法僧(ぶっぽうそう)」と鳴く鳥の声を聞いて、悟りを開いたと言われますが、今では仏法僧と呼ばれるその鳥の鳴き声は「ぶっぽうそう」という音とは程遠く、コノハズクと言う別の鳥の鳴き声だったと言われています。ここで大事なのは空海が鳴き声を聞いた鳥が仏法僧かどうかという事実ではなく、彼が鳥の鳴き声にインスピレーションを得て悟りを開いたということです。

宮崎駿は先輩監督の高畑勲の死に衝撃を受け、新作映画「君たちはどう生きるか」に大伯父というキャラクターを創り出し、物語の中で離別します。ここでも重要なのは、高畑勲の死を抽象化し、作品に昇華しなければ、宮崎駿は彼の死に囚われ、あるいは絡め取られて一歩も動けなくなっていたという事実です。

踊りにおいてあらゆる動きに柔軟に対応できる身体作りが重要なように、教養は人の生き方にしなやかさや気づきを与えてくれます。そしてその気づきをアウトプットすれば、周囲にも新しい気づきを与えてくれます。

AIはコノハズクという別の鳥の鳴き声をインプットしない限り、仏法僧の鳴き声から悟りを得ることはありません。この「勘違い」も含めた豊かな思考のスープを作り上げることは、人間だけが可能な行為なのです。

まとめ

今後、頭脳労働はどんどんAIにとって変われられ、芸術の分野でも文学や絵画、音楽、映像など身体性を伴わないメディアはどんどんAIに侵食され、身体性を伴う踊りはますます注目を浴びていくことになるでしょう。

日本におけるクラシック・バレエの課題は、幼少期から習い始める結果、外側からバレエを見つめる機会が持てないことです。

鎌倉の大仏って中に入れるんだけど、最初から大仏の中で生まれた子供は内部構造にはメチャクチャ詳しくなるけど、それが外側からどう見えるのか、なぜそこに立っているのかは知らずじまい。

僕のブログは外の世界から見えるバレエを観察し、中にいる人にその形を伝えつつ、まだ大仏を見に来たことがない人に大仏の存在を紹介することです。

一駅の間に読めるブログを心がけて書いていますが、僕自身はもっと時間をかけて、自分の教養を深める必要があるなーと改めて気付かされた5日間のホテル滞在でした。

 


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