小さなバレエ教室こそAI活用で変わる理由

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AIの発達によって、今後さまざまな職業が価値を失っていくと言われています。でも、身体を使ったレッスンが基本のバレエ教室は、間違いなく生き残っていくし、それこそ価値のあることだと思います。

AIがどれだけ進歩しても、先生が生徒の姿勢を直したり、目の前で美しいお手本を見せたり、一人ひとりの心に寄り添って励ましたりすることはできませんから。

じゃあ、教室運営にAIは要らないかというと、そうでもありません。

バレエ教室の先生の仕事は、レッスンで指導することだけではありません。生徒の出欠管理、保護者への連絡、発表会の振付・準備、衣装の手配、使用楽曲の編集、スケジュール調整、新しい生徒の対応、SNSやホームページでの情報発信…。挙げていけばキリがないほど、多岐にわたる業務を抱えています。

しかも、日本のバレエ教室の7割は個人経営の事業です。少子高齢化が進む日本において、人手不足はバレエ教室とて他人事ではありません。個人経営で事務員を雇う余裕のある教室はごくわずかです。

だからこそ、「バレエ教師が本業の教えや振付に集中するためにAIをどう活かすか」という視点こそが、今後の教室経営の鍵になるということです。

AIが創る新しいレッスン環境

最近はインバウンドの外国人だけでなく、長期滞在して働く外国人を多く見かけるようになりました。

その是非はともかく、間違いなく今後の日本は日本人の働き手だけでは足りなくなるという現実があります。

近年、両親の教室でも外国人の生徒や保護者が増えています。これまでバレエの経験もなく、言葉も分からない子供たちは見よう見まねでついて行くしかありません。加えて保護者への連絡も個別の対応が必要になります。今も翻訳アプリはありますが、レッスン中にいちいちスマホを見ながらレッスンするわけにもいきません。

そこで期待したいのが、Bluetooth接続のヘッドセット型AI通訳です。先生と外国人生徒がそれぞれの母語で話しても、AIがリアルタイムで翻訳し、耳に届けてくれる。言葉の壁を感じずに、目の前の動きに集中できる環境が、近い将来当たり前になるかもしれません。
AIが特定のバレエ用語を学習してくれれば、通常の会話よりも的確な翻訳ができると思います。

映像制作の現場でも、最近は同時通訳システムがものすごい勢いで進化しています。まだ完璧ではありませんが、数年前と比べると驚くほど自然な翻訳ができるようになりました。

例えば、外国人のインタビューを英語で文字起こしして、さらに日本語に翻訳した字幕をつけるといった作業も、これまでは専門業者に頼んで数日かかっていたけど、今はAIを使えばその日の内にできちゃう。

裏方業務からの解放

発表会の準備も大きく変わるでしょう。

例えば、僕は今、来年度の発表会の会場探しをしているのですが、7月下旬から8月にかけて1200人-1800人が収容できる会場を、去年までは一つ一つネットで調べてリスト化していました。

ですが、今年はAIに下調べからリスト化してもらうまで全て任せました。

しかも、会場それぞれの予算や申請の方法、申請期限まで調べてくれます。教室のある杉並区に近い順にリストを並べ替えるのもお手のもの。今後は申請の進捗管理などもお願いできるようになるでしょう。

発表会で使う音楽も、これまではパソコンで音楽を切ったり貼ったり、テンポを調整するなど編集していましたが、AIが最適な長さに自動調整してくれるようになりました。

正直、出来栄えは良い時も悪い時もあり(パッと聴いて良くても踊りづらかったり)、まだ修正が必要ですが、将来的にはこの違和感も緩和されてくると思います。

既存の曲を使うクラシック・バレエではあまりありませんが、AIに曲のイメージやテンポ、長さを伝えれば、完全オリジナル楽曲を作成することもできます。(もちろん著作権フリーで)

出欠管理や月謝管理といった経理作業やお知らせの作成などもAIで自動化すれば、時間も手間も大幅に節約できます。

先生たちは本業にもっと集中できるようになるはずです。

バイブコーディングで作る”理想のシステム”

最近注目されている「バイブコーディング」(VIBE CODING)という言葉をご存じでしょうか。

難しいプログラミングの知識がなくても、AIに普通の言葉で指示を出せば、AIが必要なシステムを自動で組み上げてくれる仕組みです。

これまで、連絡アプリ、出退勤管理、月謝システムなど、バレエスクール内のツールはバラバラでした。他社サービスのサブスクリプションに入っているものあれば、お手製のエクセル、さらには紙で管理しているものもあります。
これまで慣れ親しんだやり方を一気に変えるのは、一筋縄ではいきません。

でも、バイブコーディングを使えば、自分たちの教室に合った一元管理システムをAIと一緒に作れるかもしれません。

大きな資金をかけなくても、小さなスクールが自分たち専用の仕組みを持てる時代がすぐそこに来ています。

大切なのは、「どんなシステムが欲しいか」を具体的にイメージできること。技術的な実装は、AIが手伝ってくれる時代になりつつあります。

まとめ

AIの話をすると、「人の仕事が奪われる」という心配の声をよく聞きます。でも僕は、むしろ逆だと思っています。

人にしかできない心のケア、振付や指導、子どもたちの小さな成長を見逃さないまなざし。

これらはどれだけテクノロジーが進歩しても、AIには代替できない領域です。

AIにできることが増えるほど、先生たちは「教える」という本来の役割に専念できるようになります。

では、なぜAIを使わないのか。なぜ理解が進まないのか?

知らないから」です。

日本でもAIの普及は進んでいますが、ビジネスシーンでも51%*(世界平均は72%)、一般消費者に至っては27%**しかAIを使ったことがないというの現状です。

*ボストンコンサルティンググループ調べ
**日本リサーチセンター調べ

でも、実際に使ってみると案外簡単だし、思っていたより身近なツールだということがわかります。難しいプログラミングの知識も、高額なシステム導入費用も必要ありません。ChatGPTやClaudeといった対話型AIは、月額数千円で利用できますし、無料プランでも十分試すことができます。

事務員さんを雇う余裕のない小さなバレエ教室こそ、AIに事務員さんのように働いてもらえば良い。

大切なのは、完璧を求めずに小さく始めること。最初は今回ご紹介した会場探しのような簡単なリサーチから始めて、徐々に活用範囲を広げていけば良いと思います。

バレエという伝統ある習い事の世界にとって、新しいテクノロジーは一見、縁遠いものに感じるかもしれません。でも、本質的な価値を守るためにこそ、効率化できる部分は積極的に取り入れていく。そんなバランス感覚が、これからの教室運営には求められるのではないでしょうか。

ちなみに、この記事もAIの力を借りて書いているよ。「どんな視点で書くか」「何を伝えたいか」は、僕自身が決めて、AIが下書きしたものを加筆・修正している。いずれブログ作成のプロセスも何らかの形で配信しようと思う。

 


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