記録と思い出:発表会映像の5つのこだわり

ライムライトの仕事部屋
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9月14日土曜日にバレエ発表会のDVD/ブルーレイ制作における僕のこだわりについて音声配信したのですが、色々と話したいことがありすぎて、10分超の内容になったので、要点をかいつまんでブログにしようと思います。みなさんが読みやすい方、聴きやすい方でお楽しみいただければと思います。

音声配信はこちら。

両親のバレエ教室では、映像制作の仕事をしている僕が、撮影から編集、販売まで行うことで、すべて内製化しています。これは珍しい取り組みかもしれませんが、外部の専門業者に依頼する場合と、自分たちで制作するのでは、どのような違いがあるのでしょうか。また、ふだん発表会のDVDやブルーレイをご覧になっている方々には、撮影する側がどんなことにこだわっているのかを知っていただく機会になればと思います。

5つのこだわりと内製化のデメリット

まず、僕のこだわりを以下の5つに整理して紹介しようと思います。

  1. 撮影へのこだわり
  2. 編集へのこだわり
  3. デザインへのこだわり
  4. 価格へのこだわり
  5. 長期的な資料としての価値

先にこれらのこだわりを実現する上でのデメリットをお伝えしておくと、専門業者に依頼するよりもコストがかかります

一見、内部で行う方が安く済みそうに思えるかもしれませんが、専門的な機材の調達や、追加のスタッフの雇用、編集作業の分担、DVD・ブルーレイの制作・コピー・販売まで含めると、外注費用が予想以上にかさむのが現実です。

先ほど、僕が撮影・編集・販売まで行なっていると書きましたが、上記のようなこだわりを持つと、どうしても一人で作業するのには限界があります。

専門業者に依頼すれば、人材も機材もすでに用意されているので、そこまでお金はかかりません。

こっちは自分が踊っている姿だけ見られれば良いから、そんなこだわりは捨てて、カメラ1台で撮影して、編集もしないでさっさとちょうだい!そして安くして!!

そういう声があることは重々承知の上で、なぜこだわる必要があるのか、その理由をこれから説明していきます。

1.撮影へのこだわり

バレエ発表会の撮影では、顔や足だけの部分ではなく、ダンサーの全身の動きを捉えることが重要です。僕は複数台のカメラを使用し、舞台全体の様子を捉える引きの画と、個々のダンサーの表情や動きが分かる寄りの画を組み合わせて撮影しています。とくにお子さんが出演されている発表会では、引きの映像だけだとお子さんがどこにいるのか、どんな表情をしているのかが分かりません。

専門業者の場合、多くは予算や時間の制約から1台のカメラでの撮影になりがちです。もちろん、追加料金を払えば2台以上のカメラで撮影してもらうことはできますが、その場合は撮影費用に加えて、複数の撮影素材を組み合わせる編集費用が追加で発生します。

2.編集へのこだわり

基本的に引きの画を中心に使用しつつ、とくに子供たちが出演する小品集では、すべての出演者の顔が映るようアップの画を適宜挿入しています。振付家やダンサーの意図を尊重しながら、お子さんが出演されているご家族の期待にも応えられるよう、バランスの取れた編集を心がけています。加えて、振付家や出演者の方から「このような編集にしてもらいたい」という要望があれば、できるだけその要望に応えられるように編集します。これも、内部の人間が作業するメリットのひとつだと思います。

専門業者に依頼した場合は、教室や作品の個性を十分に反映しきれず、標準的なテンプレートによる編集になることがあります。また、個別の要望に柔軟に対応することも難しいです。

3.デザインへのこだわり

DVDやブルーレイのパッケージデザインは、毎年の発表会プログラムと同じ色調・デザインコンセプトで制作しています。これにより、本棚に並べた際に一目でその年の記憶が思い出せるようになっています。

長年、両親のバレエスクールに通っている生徒さんにとって、パッケージが増えていくことに満足感が得られるよう、こだわっています。

これも専門業者に依頼した場合は、その業者が持つテンプレートデザインが使用されることが多く、教室の独自性や年ごとの特徴を反映させにくいです。そもそも、発注する業者を変えたり、業者自体が潰れてしまった場合は、デザインを引き継ぐこと自体が難しいです。

4.価格へのこだわり

発表会の映像には、2つの側面があると思います。

1つは、振付家やダンサーにとっての反省用・研究用の記録としての価値です。

そしてもう1つは、出演している子供たちやそのご家族にとっての一生の宝物としての価値です。

これらの側面を十分に理解し、バランスを取ることが、価格設定において非常に重要だと考えています。

僕はとくに後者の側面に重きを置き、丁寧な撮影・編集・デザインにこだわっています。単なる記録としてではなく、芸術作品として、そして大切な思い出として価値のあるものを作り上げることを目指しています。

これらの要素を考慮すると、どうしてもコストは上がってしまいます。しかし、「自分の子供が米粒のように小さく映っている映像を見るよりも、表情までしっかりと映った映像を見たい」というのが、僕自身、一児の親としての気持ちでもあります。

ただし、全ての方が同じニーズを持っているわけではないことも理解しています。

「自分の出演シーンだけ見られれば十分」という方もいらっしゃるでしょう。そのために、将来的にはオンデマンド配信の導入を検討しています。これにより、DVD・ブルーレイの製造に関わるコストと納期を短縮できて、もっと柔軟な価格設定と、個々のニーズに合わせたサービス提供が可能になると考えています。

5.長期的な資料としての価値

そして内製化の最大の利点は、データを永続的に保管できることです。外部の業者に依頼した場合、教室には保管用のマスターディスクが送られてくるのが通常ですが、万が一、このディスクを紛失したり破損した場合、たいていの業者はデータを保管しておいてくれません。つまり、発表会の記録自体が失われてしまうリスクがあるのです。

また、あとからディスクを複製する際にもコストが発生します。

しかし、ご自身の教室で制作することで、貴重な記録を確実に保存し、必要に応じて複製することができます。とくに、長い歴史を持つ我が家のバレエ教室にとって、先代の振付を映像として残すことは非常に重要だと考えています。

まとめ

以上が、僕がバレエ発表会の内製化にこだわる理由です。もちろん、教室の方針によって、発表会の映像を反省用の記録として割り切り、低コストで制作することも一つの選択肢です。また、教室の思いに寄り添ってくださる素晴らしい業者さんもいらっしゃると思います。

あるいは、知り合いのディレクターやカメラマンに依頼してみたら、専門業者に頼むよりも低いクオリティのものになってしまった。そんな経験がある方もいるかもしれません。いずれにしても人が行う仕事ですから、これが正しい選択肢だ、ということは言えません。

そんな時は、ぜひわたくしまでご連絡ください!(笑)

 


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